令和8年度(2026年度)デジタル庁情報システム調達改革検討会(第1回)
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概要
本検討会の概要は、令和8年度(2026年度)デジタル庁情報システム調達改革検討会をご覧ください。
開催情報
- 日時:令和8年(2026年)10月2日(金)17時00分から18時30分まで
- 場所:オンライン(Microsoft Teams)
- 出席委員:庄司座長、石川委員、川澤委員、坂下委員、城山委員
議事次第
- 1. 開会
- 2. 議事
- 1. 有識者検討会についての説明
- 2. 過年度施策の妥当性評価
- 2.1 「機動的・柔軟な調達手続の改善」の取組概要・論点説明
- 2.2 「システム調達における発注者側の能力向上」の取組概要・論点説明
- 2.3 自由討議
- 2.4 「中小・スタートアップ企業等の参入機会拡大」の取組概要・論点説明
- 2.5 「ベンダーロックインの排除」の取組概要・論点説明
- 2.6 「内部統制等による透明性の確保」の取組概要・論点説明
- 2.7 自由討議
- 3. 昨今の情報システムを取り巻く環境の変化を踏まえた新たな情報システム調達改革施策の構想の論点説明・自由討議
- 3. 閉会
資料
- 令和8年度(2026年度)デジタル庁情報システム調達改革検討会(第1回)議事次第(PDF/125KB)
- 令和8年度(2026年度)デジタル庁情報システム調達改革検討会 第1回 事務局提出資料(PDF/18,365KB)
- 構成員名簿(PDF/281KB)
- 令和8年度(2026年度)デジタル庁情報システム調達改革検討会(第1回)議事概要(PDF/262KB)
議事概要
事務局から検討会の背景と目的、過年度施策の取組状況および新たな情報システム調達改革施策の重点論点候補について説明があった後、討議が行われた。 各委員からの主な意見は以下のとおり。
1.過年度施策の妥当性評価
(1) 全体
- 個々の施策は、調達を改善するための手段の進捗としては適切に評価されていると思われる。一方、施策を実施した結果、実際の調達が改善したか、利用者にとって十分なシステムが構築されたか、利用者の満足度が向上したかという観点から、長期的な変化を追跡する必要がある。定量評価が難しい場合でも、アジャイル開発を採用したことで具体的に改善した事例等を確認できなければ、取組が形骸化するおそれがある
- デジタル庁内での取組の進捗と、政府全体への展開状況は、難易度および効果の段階が異なるため、区別して確認する必要がある。また、契約後の満足度、落札率、応札者数および契約履行後の成果等を組合わせ、新たな取組が最終的な政策目的の達成につながったかを検証する仕組みが必要である
- 手続の短縮および柔軟化自体を成果とするのではなく、それによって開発・導入が早まり、職員の業務負担が軽減され、最終的に国民・住民の利便性が向上したかという一連の効果を検証する必要がある。政府内のシステム利用者の満足度に加え、業務処理時間、システムの品質・安定性および住民の手続負担等、案件の目的に応じた成果指標を設定し、PDCAを回すことが必要である
- 調達は政策目的を実現するための手段であり、調達制度自体が目的ではない。調達制度の利用状況だけでなく、その制度の利用によって政策目的がどの程度達成されたかを評価するため、調達制度のアウトプットと政策全体のアウトカムを接続する仕組みが必要である
- 過年度施策の自己評価には一定の意義があるが、今後は進捗だけでなく、政策目的に立返り、行政サービスおよび調達の質の本質的な改善まで捉えられる評価が必要である。今後の施策設計にあたっては、適切なKPIを把握できるようにするとともに、評価の在り方を検討する必要がある
(2)施策の方向性①「機動的・柔軟な調達手続の改善」
- 新たな調達手法の利用率を高めること自体を目的としてはならない。新たな手法の導入によって調達の競争性および開発の迅速性が向上したか、また、ほかの案件でも継続的に活用されているかを確認し、どのような成果が得られた場合に当該手法を有効と判断するかという尺度を整理する必要がある
(3)施策の方向性②「システム調達における発注者側の能力向上」
- 発注者側の能力を組織に定着させるためには、要件定義書等の成果物の品質およびテンプレート・ナレッジの再利用率を測定する必要がある。知識が蓄積されていることと、実際の調達業務で活用されていることは区別し、人事異動後も過去の知見を活用して調達品質を維持できているか、過去の失敗および手戻りを次の調達で回避できているかを評価する必要がある※
- 発注者の知識およびスキルを高めても、契約条件または制度上の制約によって適切な調達および事業者との柔軟な協議ができない場合、改革の効果は限定的となる。契約条件が事業者の参入・提案へ与える影響を検証し、契約ひな形または運用上の工夫で対応できる事項と、制度改正が必要な事項に整理する必要がある※
- 制度変更でなければ対応できない事項と、能力支援によって対応できる事項との切分けを整理する必要がある。制度の中で適切な運用を選択する能力と、制度が障害となった場合に制度自体を変更する能力とでは、能力の定義が異なる。相談窓口、Q&Aおよびサポートシステムは能力を支援する仕組みであり、発注者側が実際に有する能力とは区別する必要がある
- ※事前提出意見に基づく
(4)施策の方向性③「中小・スタートアップ企業等の参入機会拡大」
- 中小・スタートアップ企業への発注を増やすこと自体ではなく、不要な参入障壁を取除き、技術力のある企業を適切に評価できるようにすることが重要である。参入企業数の増加だけでなく、技術力を適切に評価できる仕組みが整ったか、技術力のある企業を採用したことで具体的な効果が生じたかを確認する必要がある
- 参入障壁を下げることが目的であれば、障壁が下がったことを成果として評価できる。一方、参入障壁を下げた結果として品質が低下していないかという観点から、引き続き技術力および履行品質を確認する必要がある
- デジタル・スタートアップ企業が不利とならない競争条件を整えたことにより、参加企業が増えたこと自体は一つの成果と評価できる。一方、技術力の高い企業が実際に参入したかについては、契約履行後のアウトカムまで確認する必要がある。機会の公平性を確保する政策と、調達結果の質を高める政策とでは、評価する段階および指標が異なる
- 参入企業数の増加と調達成果の改善は同じではない。参入拡大が政府にとっての調達価値の向上へつながったことを示すデータを特定し、価格、品質および技術の観点から総合的に評価する必要がある。また、新規参入者の受注後の品質、納期、継続的な事業遂行能力および従来選択できなかった技術・サービスの採用状況も確認する必要がある
- 応募できる制度があることと、企業が実際に応募できることは異なる。政府調達の年間予定を早期に公表し、スタートアップ企業が提案準備、営業投資および資金調達を計画できる環境を整える等、調達制度の周辺にある制度改革も必要である
- 中小・スタートアップ企業の参入は手段であり、それによって何に寄与したかというアウトカムを明確にする必要がある。高い技術力を持つ企業の参入が目的であれば、その技術力および調達品質への寄与をどのように評価するかが課題となる
- 中小・スタートアップ企業が応札を検討しながら断念する理由について、書類および手続の負担、支払条件等を含めて調査する必要がある。また、ベンダー側が中小・スタートアップ企業の参入機会の拡大策を受けて、どのように対応し、行動を変化させているかについても確認する必要がある
(5)施策の方向性④「ベンダーロックインの排除」
- ベンダーロックインは、技術的な要因により、同一のシステムまたは一連の開発を同じ事業者へ継続して発注せざるを得ない状態である。一者応札の減少または中小企業の参入増加だけでは、技術的な制約または継続依存が解消されたかは分からないため、同一システムの更新時に実際に事業者の切替えが生じているか等を確認する必要がある
- 同一の事業者が継続して受注していても、提案の見直しおよび改善が行われ、競争性が確保される仕様書が作成されていれば、入札の質は一定程度確保され得る。一方、過去と同様の仕様書および提案内容で同じ事業者が受注を続ける状態は、改善すべきと考えられる
- ベンダーロックイン防止チェックリストは、導入から時間が経過し、形式的な確認にとどまっている可能性がある。チェックリストの活用だけでなく、複数事業者との対話、市場調査、仕様書の見直しおよび透明性のある形での参加者拡大が、一者応札の減少またはベンダーロックインの解消へつながったかを評価する必要がある
- ベンダーロックインは、一者応札の問題ではなく、必要なときに別の事業者へ切り替えられるかというポータビリティの問題である。データ移行および知識移転に関する義務を契約に盛込み、発注者が事業者を切り替えるときに必要な情報を確保できるかを評価すべきである
- データ形式、API、設定情報、システム構成および運用手順書等が特定事業者に依存している場合、契約上は切替可能でも実際の切替えは困難となる。データ移行に要する費用および期間、追加ライセンスの制約ならびに設定情報の引継ぎ等を調達段階で明確にする必要がある。一方、全てのシステムに一律の要件を課すと調達コストおよび事業者負担が増えるため、システムの重要度および代替可能性に応じて出口要件を段階化する必要がある※
- 発注者側で知識が継承されなければ、過去の仕様書をそのまま使用することになり、実質的なポータビリティは確保されない。発注者側で知識を蓄積・継承する仕組みと出口要件は相互に関連するため、発注者能力に関する論点と併せて検討する必要がある
- 一者応札の比率は低下していても、案件総数が増加する中で一者応札の絶対数は減少していない。各年度の比率だけでなく、個別案件を追跡して実際に事業者の切替えが生じたかを確認する必要がある
- ※事前提出意見に基づく
(6)施策の方向性⑤「内部統制等による透明性の確保」
- AIおよびアジャイル開発により契約後の変更が増える場合、当初の入札における透明性および公正性との関係が課題になる。各段階で適切な判断が行われたことを記録し、継続的に確認する仕組みが必要である
- 内部統制および透明性の確保は、ほかの施策全体に関わる課題として捉え、PDCAを回す必要がある
- 透明性によって何を達成するかを明確にする必要がある。機動的・柔軟な手続またはアジャイル開発は、状況に応じて発注者の対応が変わり得るため、実現したい目的および確保すべき透明性の内容を丁寧に整理する必要がある
2.新たな情報システム調達改革施策の構想
(1)重点論点の構成および優先順位
- 重点論点のうち、調達・契約モデル、競争性・市場形成および官民の知見循環の論点は、過去に検討してきた施策の延長に位置付けられる。一方、デジタル・レジリエンスは別の軸の論点であり、生成AIは横断的な論点である。調達・契約モデル等については、既存施策の延長として何が未完了で、次に何を行うのかを明確にし、論点間に優先順位およびメリハリを付ける必要がある
- 生成AIまたはデジタル・レジリエンス等の新たな論点と、既存施策の延長にある論点とを整理し、全7回の検討会をどのような戦略で進めるかを明確にする必要がある
- 五つの重点論点には違和感はない。一方、調達改革の目的を行政サービスの価値向上とするのであれば、総費用、サービス品質、障害時の復旧および他社への切替可能性等を横断的な共通評価軸として設定することも考えられる
- デジタル・レジリエンスについては対象範囲を明確にし、AIについては従来の固定的な仕様および成果物を前提とした調達との違いを整理する必要がある
(2)生成AIを前提とした調達とAIガバナンス
- AIについては、少なくとも、①発注者である行政がAIを利用して業務を効率化する場合、②受注者がAIを利用して成果物を作成し、発注者が当該成果物を検証してガバナンスを機能させる場合、③AIを含むシステムまたはサービス自体を調達対象とする場合、の三つに分けて整理する必要がある
- 生成AIは避けて通れない論点である一方、AIを調達する場合は契約時点で詳細を確定しにくいため、調達・契約モデルの改革とも関連付けて検討する必要がある
- 生成AIについて、政府が既存の市場および技術を前提として有利な調達条件を引き出す場合と、政府が研究開発に関与し、政府内で試行した上で市場形成を図る場合とでは、議論の筋が異なる。市場にある成熟したシステムを購入する場合、政府が研究開発および市場形成へ関与する場合、政府内で試行して市場へ展開する場合等を区別し、政府のAI戦略も踏まえて検討する必要がある
- 生成AIを利用すること自体を目的としてはならず、調達によってどのような価値が向上するかを要素分解する必要がある。AIガバナンスは、最終的には品質および責任をどのように確保するかという問題であるため、価値、品質および責任の関係を具体化する必要がある
- 契約後も要件および技術を変更できる柔軟な方式では、仕様変更の反復および費用増加も起こり得る。柔軟性に加え、変更を管理し、成果および費用に責任を持てる契約を設計する必要がある
- AIを調達対象とする場合は、学習によって能力または出力が変動するものをどのように評価し、調達するかが問題となる。また、AIエージェントが調達に関係する場合等、固定的な仕様および成果物を前提とした従来の調達とは異なる論点も想定される
- 生成AI等の用途および可能性が定まっていない技術を調達へ取り込む場合、単に安く調達すればよいわけではなく、国産技術、スタートアップ企業および市場形成等の観点も重要となる。一般的な情報システムとAIを含むシステムまたはサービスとでは、調達の効果を評価する方法も異なり得る
(3)デジタル・レジリエンスを確保する調達
- デジタル・レジリエンスについては、自然災害だけを対象とするのか、サイバーセキュリティも含めるのかを確認する必要があり、レジリエンスを自然災害へ限定する意味も検討すべきである
デジタル庁から、デジタル・レジリエンスは現時点ではサイバーセキュリティではなく、自然災害等によるシステム停止時の早期復旧等を主眼として検討している旨の補足があった
(4)今後の検討
- 新たな施策の方向性について、生成AIを含む技術環境の変化、AIトランスフォーメーションを見据えた調達の仕方および単位、機動的・柔軟な調達手続等、政府情報システム調達に関する幅広い論点が提示された。第1回では十分に整理し切れなかった部分もあるため、今回の意見および追加分析を踏まえ、次回以降に各論点を具体化する必要がある
以上